万年筆面白よもや話


硬い(柔い)ペン先

良く聞く、万年筆の表現である。このペン先の硬さ(柔らかさ)を決定するのがペン先の弾力性だそうだ。それを決定する要素が3つほどある。

  1. ペン先の角度(鈍角[角度が大きい]より鋭角[角度が小さい]のほうが、弾力性は大きい)
  2. 切り割りの長さ(切り割りの長さ[ポイントからハート穴までの]が短いものよりは、長いほうが弾力性が大きい。
  3. ペン先の丸み(丸みが大きいよりは、小さいほうが弾力性が大きい)

また傾向として、重いペンほどペン先が硬く、軽いペンほどペン先が軟らかいそうである。

滑らかな書き心地

万年筆が柔らかい=滑らかではない。それを決定する要素を紹介。

ペン先と紙の軽い接触で筆記できる万年筆は、その時点で他の筆記具よりは滑らかだ。

14金のペン先の良さ

ミドルクラスのペン先に使われる14金。万年筆にとって最適な特徴を持っている。

私は18金のペン先と14金のペン先に書き味において特筆すべき違いは感じない。スーベレーンやソネットのように柔らかく感じるペンもあるし、ウォーターマンCFのように硬く感じるペンもある。ペン先の柔らかさはやはり、切り割り他の要素の影響が強いのだろう。18金になると値段も上がるように、もはや装飾という役割の方が強いように思う。

万年筆のインクカートリッジの種類

万年筆のカートリッジはヨーロッパ系は統一規格なのでメーカーを問わず使用可能ある。ただ同じヨーロッパでも微妙に形状が異なり、モンブラン型とペリカン型の2系統がある。そしてそれに合わないペンもまれに存在する。

モンブラン型
カルティエ、ダンヒル
ペリカン型
カランダッシュ、デュポン、ファーバーカステル、マーレン、オマス、ロットリング、デルタ等。

万年筆の市場占有率

いつの調査か不明だが、見つけたので紹介。

なんとなく、納得するようなランキング。国産筆記具メーカーの最大手パイロットはやはり強い。ベストセラーの「キャップレス」、最近でも「ペチット ワン(Petit 1)」や「ボーテックス(Vortex)」のような、若者向けの可愛いデザインの万年筆を生産して革新的だ。プラチナや、セーラーはなんとなく玄人好みのイメージがある。そして、モンブランはステータス、アクセサリーとしても定番。きっと新しいデータではないと思うのだが、今現在はどう変化しているのか興味深い。ラミーなんかがランクインしそうな気がするのだが。

Pen of the year 2000

100$以下

100$以上(除限定品)

限定品

メーカー別

Worst Pen of the year 2000

ちなみに、1997年のペン・オブ・ザ・イヤーはペリカンのSouveraen800が受賞した事で有名。この企画は、ドイツの万年筆専門雑誌「scriptum」

大学生と万年筆

「現代筆跡学序論 魚住和晃著」という書籍に、興味深いデータがあるのを見つけた。

神戸大学の学生を対象普段の筆記具の調査を行っている。それによると、

万年筆は鉛筆以下らしい。確かにきっかけがないと使わないだろうと思う。ちなみに万年筆を所有しているかという質問に対しては30%の学生がイエスと答えている。

カートリッジ式万年筆

日本で最初に萬年筆のカードリッジを作ったのはPLATINUM社。PLATINUM社のカートリッジは、ステンレスボールが栓になっている(ラムネの栓のように)。 これによりインクを撹拌したり、表面張力の強いインクが引力に従うようにする効果がある。

日本で次にカートリッジを生産したのはSAILOR万年筆。PLATINUM社のパテントを回避するために、ボールを中に落とすのではなく、仕切りを突き破る方式を採用した。

画像(カートリッジ)

そしてPILOTもカートリッジの生産を始める。PLATINUM社とSAILOR万年筆社のパテントを回避するために考え出された方法が、仕切りが回転するという方法。

3社のカートリッジを確認するとPLATINUM社のカートリッジは確かに独特だと思ったが、SAILOR万年筆とPILOT社は微妙なところ。使い終わったPILOT社のカートリッジは、確かにカートリッジが突き刺さる部分が破れているのではなく、回転ドアのように(例え下手)なっていて前方部分に残っている、一方でSAILOR万年筆は完全に刺さった部分はカートリッジの奥へ取れてしまっている。それぞれプライドがあるのかもしれないが、国産ならお互い互換していたら便利だったと思う。

中国の万年筆事情

画像(ペン先)

SAILOR万年筆に「ふでDEまんねん」というペン先が曲がったペンがある。私も、同じタイプで凸ペンというのを所有している。これは日本では独特だが中国ではありふれているらしい。ペン先の反ったペンは中国では、「長江書法硬筆」、「書画筆」、「工芸筆」、「美工筆」などとよばれ結構人気があるそうで、筆ペンの代わりとして漢字を書いたり、画を描いたりするのに使われるようである。

理想の万年筆

万年筆コレクターとして知られていた故・梅田晴夫氏が、約1000本のコレクションの中から精選した12本の万年筆の優れた点のみを集めて考え出した「理想の万年筆」のスペックに基づき、プラチナが開発した万年筆「#3776」 の計量値のデータがあった。「理想の万年筆」というのは勿論人それぞれだ。しかし今でも定番のロングセラー#3776のデータだから何かの目安にはなるかもしれない。

実は、一番興味深いのは梅田晴夫氏なる人物だったりする。万年筆を1000本も所有するコレクター。さすがにこれ位万年筆を知っている方だったら、“大体の”日本人に合う万年筆を語れるのかも。1000本の中から選ばれた光栄な12本は何だろう。

パーカーのQuink

画像(パーカーのインク)

実家で見つけたパーカーのインクである。現行の仕様と少し違うようなので調べてみた。Quinkは何回かマイナーチェンジを繰り返しているようである。まず、「SUPER Quink」と表記されていたのが90年代中頃まで。その後、「Quink」だけの表記になり、白い紙箱、白いラベルで、ボトル底は「MADE in ENGLAND」になる。そして、ボトル底が「ENGLAND」の表記の時期。そして現行は、紙箱が黒、ボトルのラベルもインクの色となり、ボトル底の表記が「FRANCE」となっている。性質も現行と変わり、昔のQuinkは、水虫の検査薬にも使用できていた。

また90年代中頃にパーカーから発売され数年で製造中止となったインクにペンマンというインクがある。 箱やボトルのイラストに「penman」と表記されており、Quinkとはボトルの形状も中身も色名も全く異なるインクである。


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