スウォッチグループについて

もともとスイスの時計産業は時計製造者による協同組合を作り,団結して歴史的危機を乗り越えてきた。そんな中,1926年にムーヴメントメーカー3社(ETA,フォンテンメロン,ア・シールド)がエボーシュSAという共同体を発足。これがスウォッチグループを構成する企業集団の中で恐らくもっとも古いものだろう。こちらは,その後もグループ化を進め、最終的には17社ものメーカーで構成されるようになる。

また,1929年の世界大恐慌による不況を乗り越える為結成された企業集団のなかで重要な位置を占めるのが,1930年発足のSSIHと1931年発足のASUAGである。SSIHはオメガを中心にスイス銀行協会が参加して結成,対してASUAGはロンジンを中心にスイス銀行連盟が参加して結成され,お互い競い合いながら世界の時計産業をリードしていた。

1967年,世界の時計産業に衝撃を与える事件がおきる。セイコーのクウォーツ時計の発表である。その後の15年ほどで時計関連企業は約1/3,生産本数は半分以下まで激減。このような逆境の中,生き残りをかけてスイスの時計産業が取ったのがSSIHとASUAGの合併である。1983年のことだが,スイスの時計産業はそこまで追い詰められていた。

こうしたなか,もう一つのグループ,エボーシュSAの中のETA社にて画期的な時計が立ち上がる。83年に発売を開始したスウォッチである。そう,スウォッチはもともとグループの1企業のブランドの一つにしか過ぎなかったのだ。しかし,これが苦境にあえぐスイス時計業界を救うことになる。現在までに累計3億本もの生産本数を成し遂げたスウォッチのブームが,関連企業にどれだけの仕事と雇用を与えたか想像に難くない。そして,エボーシュSAもここで大きな変革を迎える。1985年にスウォッチがETAより独立。エボーシュSA自体はETAに統合され,翌1986年にはついにSSIH,ASUAG,ETA,スウォッチなどが合併し,SMHというグループを構成することになる。そして1998年,このSMHが名称変更をしてスウォッチ・グループとその名を変えるのだ。

このように、スウォッチグループに関してはどこか1つの企業が買収を繰り返してできたというものではなく,むしろ協同組合的,同盟関係的団体である。スイスの時計業界全体をしょって立っている企業グループ。それがスウォッチ・グループなのである。

スウォッチグループ内の格付け

Range Brand
PRESTIGE RANGE Breguet, Blancpain, Jaquet Droz, Glashutte-Original, Leon Hatot, Omega
HIGH RANGE Rado, Longines
MIDDLE RANGE Union, Tissot, ck Watch, Pierre Balmain, Certina, Mido, Hamilton
BASIC RANGE Swatch, flik flak

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